(8/10) 一日が経った。 牢屋に入れられてから誰も来ない。見張りは地下への入り口のところにいるのだろう。昨日の昼から何も食べていないので腹が鳴る。自分でもうるさいと思うぐらい、何回も。 町長は俺をここに閉じ込めたまま餓死させるきだろうか……最悪だ。俺は餓死だけはしたくないのに……それくらいなら公開処刑された方がましかもしれない。 まあ、二日間で餓死することは無いだろう。これで本当にわかった。町長も大人たちも十二年前と何も変わっていなかった。 俺は目を閉じて、後一日寝て過ごすことにした。他にやることはない。 「よく眠れたかい?」 「……最悪だよ。腹減った」 「食事も出なかったのか」 七月二十六日、約束通り笛吹き男は再び牢屋にやってきた。俺が腹減ったと文句を言うとどこから出したのか、俺にパンをくれた。俺はそれを受け取り、口の中に入れる。二日ぶりの食事だった。笛吹き男は俺がパンを食べるのを待ってから口を開いた。 「大人たちは皆、教会へ行ったよ。子供たちを家に残してね」 「……本当にあの日の再来だな」 「そうだよ。あの日一回で僕の気は治まらないよ。笛はどうする?」 「笛は町長に取られたよ」 「取られたままにするわけがないだろ」 笛吹き男は笛を俺の前に差し出した。町長のところから取ってくるのは笛吹き男にとって簡単なことだろう。 「いいよ。俺は笛が無くても子供たちを連れて行くことはできる。町には四十七人しか子供はいない。皆友達。皆俺が世話をしてきたんだ」 町の子供たち全てよく知っている。四十七人の顔も名前も性格も全て把握しているのだ。俺がついて来いと言えば皆ついてくる。笛吹き男の力を借りなくても俺にとっては容易いこと。 俺は笛吹き男の魔法により、牢屋から出ることができた。俺はすぐに町の子供たちがいつも集まる場所へ行く。大体の子供たちが毎日のようにそこで遊んでいるのだ。 次へ→ ←前へ mainへ