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「まあ、今度は僕がするんじゃない」
「は? 他に仲間がいるの?」
「いないよ」
「じゃあ、誰がするんだよ」
「君だよ」
「俺……?」
「さっきから言っているじゃないか。君に仕事をしてもらう。笛を吹いてもらうって」
「だから何で俺が……」
「そのために残したって言っただろ?」
「そうじゃなくて、何で俺がしないといけない。あんたがすればいいだろ」
「そろそろ町長は町からネズミを追い出した者に賞金を与えるとお布令を出すだろう。そう、十二年前と同じように」
「それが悲劇の繰り返しの始まりの合図だと言うのか?」
「そうだ、それが始まりの合図。再び悲劇がハーメルンの町を襲う。実に愉快だ」
「もし、ちゃんとした賞金をくれたらどうするんだ?」
「そのときは悲劇が止まる。もし、賞金を与えなかったら止まらない」
「試す気か?」
「反省をしているかの確認だよ」

笛吹き男は不敵に笑った。

「それで、君はどうする? 僕のために仕事をしてくれるか?」
「……いいだろう。でも悲劇は繰り返されないよ」

根拠はなかった。ただ言っただけだった。笛吹き男は俺に笛を渡して去ろうとする。

「おい、俺は笛を吹けないぞ」
「吹こうと思えば吹けるさ。僕が魔法をかけたから」

そして笛吹き男は魔法を使ったように俺の前から消えた。本当に魔法を使ったのかもしれない。

「町からネズミを追い出した者に賞金千ギルダーを与える」

町長がバルコニーで呼びかけていた。十二年前と同じ。何人の大人たちがそのことに気が付いているだろうか……。

俺は笛吹き男に渡された笛を見る。俺は中途半端なことはしない。やれと言われた仕事は最後までやり通す。例え、悲劇を起こした笛吹き男に言われても……。


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