(4/8) 春佳は何度も私に文句を言おうとした。だけどその度に友達や藤本君が助けてくれた。 だけど、いつもそうとはいかないわけであって、今私は春佳と二人きりだ。 「有香、一度でいいから私の話しを聞いてよ」 「何の話? 藤本君のこと?」 「わかってるでしょ、藤本くんのことだよ」 「私に文句を言われてもしょうがないよ。文句言われても私は藤本君と別れないんだから、何されても絶対に」 「……有香は何で平気で言えるの? 何で平気でいられるのよ……」 「何のことだかわからない」 春佳はきっと頭の中ぐるぐるになってしまっているのだ。私に近づくたびに友達や好きな人に暴言を吐かれて、わけがわからなくなっているのだ。自分のしていることをわからずに。 「有香……ねえ、どうして?」 春佳は私の肩を掴んだ。 怖かった。 怖くて怖くて仕方がなかった。 「いやっ」 「本宮さん!」 「っ……助けて、藤本君」 私は春佳の手を振り払って藤本君に駆け寄った。藤本君は私を落ち着かせるように肩を抱いてくれた。 「笠岡さん……あなたって最低な人だね、本当に」 「私は何もしてないよ」 「は? 何言ってるの? 現に本宮さんが怖がってるじゃん、さっきだって無理やり」 「肩をつかんだだけじゃない」 「こんな怖がっている本宮さんを見て言えるわけ?」 「それは……」 「俺、あんたと半年も付き合ってたなんて信じられねえ。人生の汚点だ」 「汚点って……どうして、私は何もしてないのに」 「聞いたよ、本宮さんから全部。あんたが二股かけていたことも、俺のことカスだって言ってたことも」 「二股……? してないよ! それにそんなこと言ってない」 「言い訳は聞きたくねえんだよ。それに、本宮さんが前に好きだった奴は全部あんたに取られたって」 「は? 何言ってるのそれは……」 「春佳は友達だから我慢してきたの……だけど、藤本君だけは……」 「それはこっちのセリフよ」 春佳はギっと私を睨んだ。 怖い、怖い…… 次へ→ ←前へ mainへ