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「有香、話があるんだけど」
「何?」

春佳は私に声をかけてきた。私と春佳は中学に上がってからずっと同じクラスで、お互い信用しあえる仲のいい友達だった。だったのだ、今は友達という関係は壊れてしまいそうになっている。この間から春佳が私に対して当たる。私は何もしてないのに。

「有香、藤本君とつきあってるって本当?」

ゾクっとした。
春佳の鋭い眼光に。春佳の目には怒りが満ちていた。

「……そうだけど」
「最悪」
「どうして? 私が何したの?」
「何、いい子ぶってんの! 有香、あんたは……」
「春佳この間から変よ? 何があったの?」
「白を切るつもり? あんたがやったことは……」

私は怖くなってその場から逃げた。あのままだと春佳が私に手を挙げると思ったからだ。殺される……そんな恐怖を春佳から感じた。

私は教室に戻って席に座る。まだ、体が震える。春佳のあの目が私を支配している。

「有香、どうしたの? 青い顔して……寒いの?」
「ううん、大丈夫だよ」
「さっき、春佳と出て行ったでしょ? 春佳は?」
「……えっと」
「もしかして春佳に何かされたの?」
「……ち、違うの、本当に何でもないの」
「もし何かあったら言ってよ。助けてあげるから」
「……大丈夫だから。春佳には何もされないよ」
「わかんないよ。だって、春佳は藤本君のこと好きだったから、有香が付き合い始めたの絶対妬んでるって」
「春佳はそんな子じゃないよ」

側に来てくれた友達と話をしていると春佳が教室に戻ってきた。私は条件反射で目を伏せてしまい、周りにいる友達がそれを見て心配そうに振舞う。

「有香、何かあったら……いや、ある前に言いなさいよ。あってからじゃ遅いから」
「……ありがとう」

友達の存在とはこんなに頼りになるものだと思った。それまではずっと春佳ばかり頼ってきた。

だけど、今回はそうもいかないのだ。


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