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「殺されたんだ」
「え?」
「俺たちが小学生の頃……飼い犬や飼い猫が相次いで殺される事件があっただろ? 最初に被害に遭った犬だった」
「あ……うちも犬飼ってるから家の中に入れてた……」
「そう。外に繋いでいなければ殺されることなんてなかった」
「……神様は教えてくれなかったの?」
「神様は起きることを告げるだけで、その原因や理由は教えてはくれないよ」
「ねえ……どうして神様は木月くんに告げるの?」
「気まぐれだよ」
「気まぐれ……」
「神様が考えていることなんて俺にわかるわけがない。俺に告げても何もできないことくらいわかっているのに告げるんだ。だから気まぐれだって俺は思ってる。日常的なことも非日常的なことも、俺にとって重要なことも重要なことも神様にとっては全てが他愛のないことなんだよ。だから気が向いたら告げるだけだ」
「人の死も……神様にとっては他愛のないことなの?」
「他愛のないことだよ。生命はこの世に生まれた時から死ぬことは決まっている」
「それはそうだけど……」
「どうにかできることなら……どうにかしたい。けど、神様が告げたんだ」
「神様が告げたから? 死なないように気をつければいいんじゃない」
「どうやって死ぬかもわからないのに気をつけるのは難しいよ。気をつけていたとしても死ぬときは死ぬだろ」

 朝香は否定ができなかった。ついさっき詠次の飼い犬が殺されたことを聞いたばかりなのだ。いくら気をつけていても死ぬときは死ぬ。詠次の言葉は真実だった。



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