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「俺の妄想だと思っていても構わないよ」
「へ?」

 朝香は間抜けな声を出す。まるで自分の思考を読んだかのように詠次がタイミングよく言ったからだ。

「そんなことは……」

 朝香は気を遣って否定しようとしたが詠次は優しく微笑む。

「信じる、信じないは片岡が決めればいい」
「正直、信じられないけど……どうして木月くんは私にこんな話を?」
「初めてだった。人の死について告げられたのは。少し動揺している」

 動揺していると言うわりには詠次は普段と変わらずに落ち着いていた。

「死については……飼っていた犬の死期について告げられたことがある。年老いてもいなかったし元気だった。病院に連れて行っても健康そのもの。充分に気をつけていたつもりだった。けれど、神様が告げた通り……死んだんだ」

 どうして? 朝香は訊けなかった。
 詠次の顔に怒りが満ちる。それは一瞬のことだった。詠次の表情はすぐに戻る。

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