(6/11)

「最悪だ」

あれから二年経っている。杉本と連絡は取っていない。取るための連絡先も知らない。ほとんど地元に戻ることもなく過ごしてきた。なのに、なのに私はまだ杉本に対しての恋愛感情を心のどこかに隠していた。忘れたふりをして、失くさないように大切に。自分を誤魔化し続けていれば、いつかは本当に杉本への恋愛感情が薄れてなくなってしまうと思っていたのに。

「どうしようもない、か」

 私はぽつりと呟くと乱暴に扱った薔薇の花束を拾い上げる。花に罪はないのに当たってしまった。少しだけ申し訳なくなる。私は花束を優しく抱きしめ、ドアの前に座り込む。


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