(2/11)

「進藤、髪伸びたな」	
「生きてるからね」

私は手ぐしで寝癖を直す。杉本に変なことを言われた次の日、私は長い黒髪をばっさりと切り落とし学校に登校した。小学生の時以来のショートカット。同性からはかっこいい、と絶賛された。

「進藤のショートカット事件は面白かったな」
「なんで女が髪を切ると失恋したのか、って訊かれるんだろうね」
「相手、杉本だったな」
「人のことだと思って好き勝手に面白可笑しく尾ひれを付けるんだよね」
「面白いからな」

杉本が失恋相手だと噂されるのは大した問題ではなかった。私にとっては。杉本にとってはそうでもなかったようだ。次の日、杉本は少しもさっとしていた髪をさっぱりと坊主にしてきた。長い髪で隠れていた顔は意外と端正な造りをしていたために、その話題が私たちの噂を掻き消した。


次へ→

←前へ

mainへ