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二十本の薔薇


「お届けものです」

朝から友人の佐倉が部屋に訪ねて来たと思えば、手には真紅の薔薇の花束。佐倉は込み上げてくる笑いを堪えているようだ。寝起きの私は佐倉が何をしに来たのか理解できなかった。佐倉とは高校卒業以来会っていなかった。それに佐倉は地元にいるはずだ。県内とはいえ、自動車で二時間はかかる私のところまで朝からわざわざ何をしに来たのか。
いや、何をしに来たのではない。手に持っている薔薇の束を私に届けに来たのだ。

「進藤、何かリアクションしてくれない?」
「あ、佐倉。久しぶり。寝起きの私に良いリアクションを求めないでくれない?」
「おまえ、寝起き悪いもんなー。はい。これ、お届けもの」
「佐倉宅急便」

佐倉はぷっと笑いを漏らす。私は佐倉から薔薇を受け取る。燃えるような赤色、ではなく、上品で落ち着いた紅色。進藤は赤より紅だな。私と佐倉の共通の友人、杉本の言葉。長い黒髪と白い肌に合うよな。高校三年生、夕暮れの教室で杉本は佐倉に同意を求めていた。佐倉はキザな男だ、と腹を抱えて笑い、私は無表情で杉本を見ていた。杉本は眩しそうに夕焼けを眺めていた。


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