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「運命なんて……運命なんて……」
「姉ちゃん」
「運命だと思っても……違うのよ」
「思っちゃいけないの?」
「……」
「運命だって思っちゃいけない理由がある?」

自分が何を言っているのかわからなかった。こんなの慰めの言葉にもならない。

「姉ちゃんがいいなら、運命だって思っても人には迷惑じゃないよ。別に運命だ、運命だ、って騒いだところでどうなるわけでもないんだけど。めぐりあわせが運命だというならば、私と姉ちゃんが姉妹だということは運命、姉ちゃんがその恋人と出会ったことも運命……」
「それってどうしたって変えられない運命じゃない。それって藍の言ってた運命論。藍は信じてないんでしょ?」
「私は全て運命で努力じゃどうにもならないとかって思いたくないだけ」
「意味わからない」
「私と姉ちゃんが同じお母さんから生まれたことは私が努力したって変えることのできない運命だけど、病気になって死ぬ運命だって言われてもどうにか病気を治して運命を変えることができる……まあ、結局それは死なない運命だったわけで……って運命論信じちゃってる?」

私は考えすぎて訳がわかならくなってきた。こんなことに頭を使うものではないと思う。

「あれだ、人間全てを運命と考えがちなだけだよ……別に運命じゃないんだよ、運命って言葉があるだけだよ……それでいいや」
「藍、何か途中から投げやりになったわね」
「だって、難しいよ。今日のお題は」
「お題って何よ」

姉はくすりと笑った。それが嬉しかった。会話をしているうちにいつの間にか姉もすっかり落ち着いたようだ。

「あー、何か運命に振り回されるのこりごり」
「私は運命を考えてこんがらがるのにこりごり」
「やっぱり、藍に話すとすっきりするわ」
「話聞いてくれる人たくさんいるでしょ? 友達多いから」
「だって、友達はただ慰めたり、怒ったり、同情したりよ?」

私は大体聞き流しているからな……何か言うとしても、ふと自分が思ったこと、それぐらい。

「私はただなーにも思わずに聞いて、たまーに自分の考え言ってくれる人がいいのよね」
「……それって」
「もちろん藍ちゃんのことよ。可愛い妹よ」
「……迷惑」
「ふふ、またお願いね」
「もう来るな」
「じゃ、私寝るわ」
「……」

姉は私の部屋を出て行った。『迷惑』だなんて本当に思っているわけじゃない。別に迷惑じゃない、ただ話を聞いているだけなのだ、それだけなのに姉は私がいいと言ってくれる。
これこそ私と姉が姉妹になった運命か?

「……運命なんてもう考えないことにしよう」

姉のおかげで私の思考は運命に支配されそうだ。そうはさせない。その前に眠ってやる。次の朝にはいつも通りの日々が始まる。

変わらない、他愛のない日々が。


end


*コメント*
「姉と私と運命と」は高2の夏に書いた記憶はある。
文芸のコンクールに出すためにね。県ではそこそこだった。
高校時代では一番書けていたときの作品。高3のときは酷かった。
受験生だったしね。息抜きに書いても書けない日々が続いた……っけなぁ。

2010/10/28
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