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姉と私と運命と


「運命なんてあるわけないのよ」

ベッドの上で人の抱き枕を抱きながら姉が呟いた。

「は?」

学習机の椅子に座っていた私は間抜けな声をあげる。姉が私の部屋に突然やってきて、突然話を始めるのは今に始まったことではない。

「だーかーらー、運命なんてないのよ」

普段から姉は私の部屋に来ては仕事や恋人への不満を気が済むまで私に聞かせていた。今回はそれとは少し違うらしく、どうやら『運命』について語りだすようだった。

「これって運命かしら……何て思ったって勘違いなのよ」

姉の話を聞きながら私は机に向かった。明日提出の課題があるのだ。

「運命なんて信じないー」
「叫ぶな」

人の部屋で、しかも夜だというのに姉は大声で叫ぶ。近所迷惑だというのが大人になっても理解できないのだろうか?
五つ年上の姉であるが、たまにでっかい妹だと思うことがある。子供らしさがまだ抜け気っていない社会人はどうなのだろうか?まあ、悪いことではないと思うけど……仕事はちゃんとやっているのか心配になることがある。

「藍は運命を信じるわけ?」
「あのさ、唐突に問いかけてくるのやめてよ」
「運命を信じるか、信じないかの話よ」
「運命論は信じないけど」
「何? 運命論?」
「全部運命の支配下にあって、自分たちの努力じゃどうにもならないって考えのこと」
「お姉ちゃん、難しい言葉はわからないの知ってるでしょ?」
「いや、難しくないからね」

自分の言葉よりも姉の考え方や言う事の方が私は難しいと思う。姉といってもやっぱり自分と違う人だから考えが全てわかるわけじゃないのだから。

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