(2/2) 小一時間が経った。吹雪いていた雪も止み、雲の間から太陽が顔を出した。ソレと僕に雪が溶けずに積もっていた。僕は一度太陽を見て、その眩しさに目を細める。 そして立ち上がり、頭や肩に積もった雪を払い落とす。太陽が出てきたせいか、ソレが少しだけ俯いていた顔を上げた。 「痛くはないの?」 僕は再びソレに問いかける。さらけ出した皮膚が雪や外気に触れて、痛さを感じないのだろうか。僕は寒すぎて顔の皮膚の感覚がなくなってきた。ソレは僕と同じようには痛みを感じていないのだろうか。 やはり、ソレは僕の問いに答えてくれなかった。 「寂しくはないの?」 例え、答えてくれないとわかっていても僕はソレに問いかけていた。問わずにはいられなかった。 なぜだかわからない。もしかしたらソレのことを、ソレの意思を知りたかったのかもしれない。他人に興味を持つことのなかった僕が、ソレに興味を持った。 太陽の光が積もった白い雪をキラキラと輝かせていた。ソレに積もった雪も一緒に輝いていた。 ソレはいつの間にか俯いた顔を上げて、太陽を見つめていた。僕はその姿を見て、無償に切なくなってきた。ソレは僕に似ていると思っていた。 俯いて……他のことには関せずに……しかしそれは違った。 「怖くはないの?」 他と違うことをして、回りのことを無視して、どこからそんな勇気が出てくるんだ? 僕に教えてくれよ。 繰り返される日々に嫌気がさした僕はその日々から抜け出すことはできるだろうか。 今日は学校をサボったが、明日からまた、昨日と変わらない日々を繰り返すのだろうか。 嗚呼、キミはどうして冬に現れたの? キミは毎年、決まった時期に咲くのをやめたの? こんな寒い冬に咲くなんて、キミは…… なんて勇ましいのだろう。 「どうして……上を見上げられるんだよ……」 僕は背をぴんと伸ばして、太陽を見つめているソレの姿をもう一度、しっかりと見た。僕は何か熱いものを感じ、涙を零した。 家に帰ると、母が鬼の形相で僕を迎えた。どうやら学校から連絡があって、サボったことがばれたらしい。 いつもの僕なら、怖いと思うだろう。だけど、今日の僕は違う。 母に久しぶりに叱られて、何だから嬉しかった。何年ぶりにこの家に、母の怒鳴り声が響いただろうか。たまには、道を反れて叱られるのもいいものだ、と僕は叱られながら思った。 end
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