(8/11) 「杉本かと思った?」 私はほっと息を吐く。佐倉が紙袋を手にそこに立っていた。 「わざと?」 「違う、違う。車に戻ったら、これ忘れてた」 「何?」 佐倉から紙袋を受け取ると中を覗く。貰った花束を飾るのにぴったりなガラスの花瓶。 「花瓶、ないだろうから。おまけだと」 私の部屋には花瓶はなかった。花を貰って飾ることなんて稀すぎる。花瓶を常備しているわけがない。こうやって花瓶を貰わなければ私は花束を枯れるまで流しにでも投げていただろう。 「あと、これ」 佐倉は私に小さな紙を差し出す。番号とアドレスが書いてあった。 次へ→ ←前へ mainへ