(10/11) 「連絡するのか?」 「お礼は言わないとね」 「進藤、そういうことだけはちゃんとしてるよな」 「そういうことだけ? まあ、本当だけど」 「もういいのか?」 何が? と私が訊く前に佐倉はやっぱ答えなくていいと言った。訊いといてなんだ。もしかしたら私の表情を見たのかもしれない。どんな表情をしたかわからないけど、佐倉は切なそうに私を見た。 「じゃあ、次は本当に帰るわ。午後からデートなんだ」 「そうなの? 悪かったね。断ってもよかったのに」 「杉本の方が先約だったからな」 「佐倉、そういうことだけはちゃんとしてるよね」 「そういうことだけな」 佐倉と私は苦笑する。高校時代、三人でよくしたくだらない会話のテンポを思い出す。懐かしい。 次へ→ ←前へ mainへ