(2/2) 「何が悔しい? 願いを叶えてもらえないことが?」 「そんなんじゃないよ」 「私にはきみの願いは叶えられないよ。私にはきみの幸せがわからないからね」 店の主人は笑いながらそう言った。 「ぼくには幸せを見つけられないのかな? 一生懸命探しても見つからないのかな?」 「今のきみには見つけられないかもしれないね。知ってるかい? 幸せっていうものは探すものじゃないんだよ」 少年は驚いたように店の主人を見る。 「幸せっていうのは探すんじゃなくて、自ら幸せになるものだよ」 「意味がわからないよ」 「そうさ、幸せなんて意味がわからないよ」 店の主人の言葉に少年は眉をひそめる。 その様子を見ると店の主人はまた笑った。 「私が言えることは幸せは誰かに頼んで手に入れるものじゃないよ。きみ自身が手に入れなければ意味ないんだよ」 「ますます意味がわからないよ」 「そうだね、願いを叶えてあげられない代わりに助言をしてあげようか」 店の主人は少年の前に一厘の可愛らしい花を差し出す。 「何?」 「きみが大切と思う相手にあげればいい」 少年は花を受け取ると店を後にした。 願いを叶えてくれる店に行き、手にしたのは何の変哲もない花だけだった。 「おかえりなさい」 家に着くと少年の母親が笑顔で迎えた。 「ただいま」 「お花を取りに行っていたの?」 「……母さんにあげるよ」 少年が母親の前に花を差し出すと、母親はとても優しい顔で笑った。 「ありがとう。嬉しいわ」 少年の心に暖かいものが溢れた。 とても暖かくて言葉には表せない気持ちだった。 「母さん」 「なあに?」 「母さんは幸せ?」 突然の少年の問いに母親は目を丸くするが、すぐに微笑みに変わる。 「幸せよ。あなたがいてくれるだけで、母さんの心は暖かいわ」 少年の心にまた暖かいものが溢れた。 それは限りがなかった。 「母さん、ぼくも幸せだよ」 少年は母親に満面の笑みを向けた。 end
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